この記事は2015年の11月に院内で配布されたリーフレット『フレッシュ通信 Vol.10:歯周病と妊娠予後』のWeb版です。
前号では歯周病と全身疾患の関係をお伝えしました。
歯周病菌は主に血液を介して全身に悪影響を巡らします。
歯周病になった場所の歯周病菌が作り出した炎症物質や内毒素が血管に入り込むことによって、さまざまな全身疾患を引き起こすのです。
そもそもの歯(は)なし第8回:歯周病と妊娠予後
妊娠中の歯周病菌の感染が早産を引き起こす?
歯周病の妊婦さんは、そうでない妊婦さんより7倍も早産になりやすいという研究結果があります。
早産の原因のひとつに膣からの細菌感染による炎症や刺激があります。
1990年代になると、歯周病菌もこのような早産を引き起こす可能性があるのではないか、だから歯周病にかかっている妊婦は早産になりやすいのではないか、ということが言われはじめました。
なぜなら、低体重児早産の妊婦の羊水や胎盤から歯周病菌が検出されることがあるからです。
妊娠する前から歯周病の治療を!歯周病の予防を!
これから妊娠を望む女性の方は、歯周病の疑いがないか、歯垢や歯石はたまっていないかなどの歯周検査を歯科医院で受け、必要な治療やクリーニング、ブラッシング指導を受けることを強くオススメします!
歯周病にかかる前の定期的な予防を!歯周病にかかってしまったなら適切な治療を!心がけましょう。
赤ちゃんの虫歯菌はお母さんから伝わる
元来、赤ちゃんのお口の中には存在しない虫歯菌ですが、奥歯が生える1歳6ヵ月頃にまわりの大人の唾液を通して感染します。
世界的に見て、虫歯菌は母親からの唾液感染がとても多いのです。
赤ちゃんの歯を虫歯から守るためにも、きちんと歯磨きをし、歯科医院で定期的にクリーニングを受け、お口の中を清潔に保ちましょう!
歯周病検査とは……?
レントゲン検査
歯を支えている骨の状態を確認します。
歯周ポケット検査
専用の器具(プローブ)を使い、歯周ポケットの深さを測ります。
同時に、歯肉の健康状態も確認します。
その他、歯に動揺がないか、歯垢や歯石の付着具合を確認します。
中程度から重度の場合、さらに詳しい検査をします。
まとめ
歯周病はもはや口の中だけの問題ではありません。
歯周病菌が全身的炎症の原因となる他にも、歯が揺らいで噛めなくなること自体も全身に悪影響を及ぼします。
お口の健康を保つということは全身の健康に確実に繋がっています。
歯周治療を軽く見てはいけません。
痛みなどの自覚症状が少ないため、放置してしまいがちですが、歯周病は治療をすれば改善する病気です。
定期的にメインテナンスを受けて、歯周病を治療・予防し、お口の健康と全身の健康を守りましょう。